あなたの会社の管理職は大丈夫?
部下が動いてくれないと嘆く管理職の特徴とその打開策とは
会社の中核を担い、現場を動かすポジションである管理職。しかし、「部下がなかなか動いてくれない」といった悩みにぶつかり、機能停止に陥ってしまう人も多いようです。今回は、管理職としてどのように動けばいいのか、その役割や課題から有能な管理職を育むポイントを紹介します。
■機能不全に陥っている管理職に共通する特徴とは?
部下が動いてくれない、部下に任せることができていないなど、課題や悩みを抱える管理職には、実は共通の特徴が見られます。
・プレイヤーから抜け出せていない
・自分の経験則や考えを伝えたいという思いが強い
・会社の定めた理念・方針を理解していない
・管理職というより指導者としての意識が強い
自ら培ってきた経験や自信、才能があるからこそ、プレイヤー感覚でチームの仕事に関わり、評価をしてしまう。自らが起点となり指導しないと部下も会社もうまく回らないと考えている。機能不全になっている管理職は無意識に自分を中心に捉え、行動していることがよくあります。それは責任の裏返しでもあるのですが、何もかもを指導することが管理職ではありません。そもそも管理職とは何か。自分本位なリーダーでは信用されず、部下は動いてくれません。そこから脱却し、管理職として必要とされる役割や業務内容を改めて再認識することが、有能な管理職になるための近道です。
■そもそも「管理職」の役割とは?
企業や組織における「管理」とは、例えば以下のようなものが挙げられます。
○部署内の業務管理
適切に作業を分配し、滞りなく業務を進める。
○業務環境や作業効率の向上
プロジェクトなどを行う上で、よりよい成果を出せる方法や環境、制度などを考える。
○部下の評価・人材育成
部下を適切に指導し、分かりやすく業務の目的と必要性を伝えて育てる。
チームとして成果を出していくために、組織を運営していくことこそが管理職の役割です。それは自分が起点となって人を動かそうとするのではなく、一人ひとりが高いパフォーマンスを発揮できる環境をつくることや、誰もが納得しモチベーションにつながる評価制度をつくることなど、チームが自発的に機能するための環境整備や制度設計、人材配置などを担います。いわば、組織が指示なしでも動くように舞台装置を整えるような役割です。今、管理職としてこうした役割にどれぐらい時間を割くことができているか。業務の指示や部下の指導ばかりになっていないか。まず現状を客観視し、行動を変えることが大事です。
■自分本位なリーダーから抜け出すための3つの打開策
管理職としての役割を理解していても、なかなかプレイヤー感覚から抜け出せない、実際にどう行動していいか分からないと頭を抱えている人もいると思います。そんな方には、まずこの3つの打開策から始めるよう提案してみてください。日々の行動やマインドを少し変えることが、自分本位から脱却し、部下が自発的に動く組織をつくる有能な管理職になるための大きな一歩になります。
①何度も自分の役割を再確認する
プレイヤーから抜け出すためには、自分の立ち位置の変化や能力を何度も再確認する必要があります。どれだけ忙しくても、少し立ち止まって物事の優先順位を認識し、自分がすべきこと、しなくていいことを見極めてみることが大切です。役割を整理することで考え方や視野も広がるため、部下にどの作業を割り振ればいいか考えられるようになります。
時間や気持ちの余裕がない中でも、とにかく立ち止まって「それは自分にしかできない仕事なのか」を考えてみてください。
②会社の理念を理解し、成果につなげる
管理でつまずく原因の一つに、会社の理念を理解せず、独善的に行動していることがあります。仕事というのは、言ってみれば理念を実現するための手段です。理念の達成を基点に仕事があり、それぞれの行動があります。会社の定めた理念を理解するために、「その価値観は何なのか」「そもそも理念とは何だろうか」という観点から再確認し、皆で考える機会を一度設けてみるといいでしょう。理念の再確認は、自分本位な価値観から抜け出し、客観的な価値基準を得る良い機会にもなります。
③行動やチームに着眼し、主観点な捉え方から抜け出す
自分独自の観点だけで評価を下してしまう…
こうした事態に陥らないためには、評価の対象を人ではなく、行動自体に向けてみてください。例えば「あなたは駄目だ」などと言ってしまうと、相手にとっては何を駄目と言われているか分からず、ハラスメントにもなりかねません。「あなたのこの行動がいけなかった」「それはなぜか」といったように、個人ではなく行動に対して指摘を行い、その客観的な理由や対策を伝えることができれば部下も納得して動いてくれるようになります。
加えて、チームにとって個人がどう機能しているかを見ることも大事です。業務を行う具体的な理由やチーム全体のメリットを示すことで相手も納得し、具体的なチーム力や個人の才能の発揮につながります。さらに、チーム内に不満がたまってしまうことも予防できます。
このように、自らの観点ではなくチーム意識を持ち、部下の特性を活かしながら公平に対応することができるようになれば、管理職として適切な評価や行動につながります。