若手世代を動かすポイントとは? 40~50代が陥りがちな罠から抜け出そう。
1日も早く仕事を覚え、戦力として活躍してもらうために重要な若手世代の育成。新入社員や若手社員は社会経験自体が浅いため、丁寧にサポートする必要があります。
しかし、若手世代への教育や接し方に悩んでおられる方は多いと思います。若手社員の早期成長や関係向上のために、これまで当たり前に行ってきた対応が、実は逆効果になっていることも。例えば、若手社員に対して以下のような接し方をしていませんか?
・仲良くなるために、プライベートの話をしようとする
・なにかと自主性を重視した指導を行っている
・励ましが大事だと思っている
実は、こうした行動や対応は若手世代の成長を妨げている可能性があります。若手世代を育成し、動かすためのポイントを紹介します。
■ベテラン世代が陥りがちなマインドセット
若手世代を前にしたとき、「なぜ自分たちと同じようにできないのか」「なぜ指示以上のことを考え自発的に行動できないのか」と頭を抱えていないでしょうか。そして、自分たちが歩んできたように指導すれば、若手世代も成長するにちがいないと社員教育やコミュニケーションを組み立てていないでしょうか。
しかし、そこに大きな落とし穴があります。
デジタルネイティブでもある若手世代はベテラン世代とは異なる価値観を持っています。それをベテラン世代の価値基準で判断し捉えようとしているのが上記の例ですが、これでは若手世代が反発するのは当然だといえます。
例えば、若手世代の特徴のひとつとしてよく挙げられるのが、他の世代に比べて承認欲求が強く、誰からも構われない状況に戸惑う人が多いこと。結果として、自分は放置されていると感じ、社内での孤立感などを抱えてしまう場合があります。また、チャレンジすることに対する恐怖心が強いことも特徴だと言われています。自分が理解できないことを前に途方に暮れてしまうことも多々あるようです。こうした特徴はベテラン世代の価値基準ではマイナスだと捉えられがちです。しかし、うわべの関係ではなく互いの個性を尊重し周囲とのつながりを大切にしたり、リスクを捉え現実的に対処することを重視したりするなど、視点を変えれば長所だとも考えられます。
まず初めに自分たちの価値判断の枠組みを広げない限り、本当の意味で若手世代と向き合うことはできません。
欠点だと決めつけるのではなく、若手世代の価値観をフラットに見つめ、これまでとは違う価値観を尊重した社員教育やコミュニケーションを考える。それが若手世代を動かす第一歩になります。
■若手社員を動かすために、まずこの3つの行動を
では、具体的にどのような若手世代の価値観を尊重し、行動すべきか。
いくつか例をあげて紹介します。
①目的や根拠を明示する
若手世代が抱えてしまいがちな孤立感や知らないことへの不安感。これは、うわべの理解ではなく深い理解や自分の納得感を大事にしていると捉えることができます。そのため、社員教育においてもこれまで以上に丁寧に指導を行う必要があります。
例えば、ただマニュアルを渡すのではなく、ルールや手順が業務にとってどんな意味を持つか加えて教えていく。作業内容の背景や根拠まで分かりやすく説明すれば、納得した上で自ら行動できるように成長していきます。「自主的に動け」という命令や、「がんばれ」と励ますのではなく、目的や根拠を示すことが若手世代を最も自主的に動かします。
②チームでの作業を増やす
周囲とのつながりを大事にする若手世代の価値観は、チーム連携の強化にも活かすことができます。チームの中での役割や動き方を丁寧に伝えることでフォローし、一人ではなく皆で業務を行う感覚を身につけていきます。このようなチーム視点を持つことで、会社全体で仕事に取り組める社員の育成につながります。
③フレンドリーより、倫理観を大切に
若手世代はフレンドリーに接してくれる上司より、仕事をきちんと丁寧に教えてくれる上司を信頼する傾向にあります。また、同じ倫理観や道徳観を重視するため、倫理的に尊敬できないことを目にすると一瞬で心の距離感をつくってしまいます。むやみにプライベートに踏み込んだり、冗談でもハラスメントな発言をしたりすることは論外。常に高い倫理観を持って若手世代と接することを心がけてください。