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チェックのやりっぱなしを避ける『職場環境改善活動』のススメ

現場で活躍する産業医や職場で働く看護職の懸念

現場で活躍する産業医や職場で働く看護職の懸念はストレスチェックの効果があまりあがっていないということです。

例えば、医師の面接指導は非常に低調であるケースが多く、常勤、専属の産業医がいて、健康管理の歴史が長く、定着している大手企業以外の、中堅企業や中規模の公共団体では、高ストレス者の1~3%程度しか、医師の面接指導の実績が出ていない職場が多いようです。

これでは、ストレスチェックで本来目指すべき、不調の未然防止も、副次的に狙っている早期発見も覚束ないと考えられます。

また、受検した人は、57項目の質問内容を職場側が改善してくれるのではと無意識に期待するところがあります、ところが、何も表立った改善の対応がないと分かると、かえってストレスを感じ、今後のストレスチェックの受検にも影響が出てくる可能性もあります。

そうした状況を打開するのに効果が期待できるのが、職場単位でのグループワークを通じた職場環境改善活動です。この職場環境改善活動の前提として、今のところは努力義務に留まりますが、チェックの集団ごとの集計と分析を行なうことが望ましいと考えられます。

集計と分析について

集計と分析は、誰かが悪い回答を書いたと上司や会社側が特定し、追及することが無いよう、20人以上の単位、最低でも10人以上の単位で分析することが前提になります。

その際には仕事の量的負担、仕事の裁量や自由度を意味するコントロール、上司や同僚の支援という4つの尺度を評価します。具体的には仕事のストレス判定図というツールを用いて、4つの尺度の平均点を標準的なデータと比較して、健康リスクを算出します。

その結果を用いて、職場単位で改善のための話し合いを行い、改善の計画と実行、事後の評価につなげていくのが、この職場環境改善活動です。そのポイントは、事業者の関与を引き出し、産業医等の支援を得ながら衛生委員会の場を活用すること、結果を管理監督者に提示し、教育研修を通じて職場での実行を推奨していくこと、そして各職場の従業員が積極的に自主的に参加していくことです。

そのうち、メインの活動が、職場単位で取り組む、グループワーク形式のワークショップです。ものづくりに長けた日本の職場では過去から品質改善のために行なわれてきた取り組みと類似した手法です。

ワークショップの具体的な手順

ワークショップの具体的な手順では、産業医や衛生管理者、あるいは外部の専門家がファシリテーター(進行役)となって、グループ討議の運営をリードします。5名程度の小グループに分かれますが、冒頭に、発言をとがめたり、ネガティブに反応しないよう注意を促します。小グループごとに進行役、記録係、発表係を選び、仕事のストレス判定図の結果について意見交換を行ないます。そして、下記の厚労省ウェブページにも掲載されている『職場環境改善のためのヒント集』を見ながら、具体的な職場環境改善の工夫をグループで討議し、まとめます。その際は、悪いところを列挙するのではなく、「良い工夫」や改善事例から提示し合い、3つまで優先順位が高い、そして取り組みやすい項目を決めます。最後に全体での発表会を行い、職場全体での取り組み事項を決めます。

ワークショップが終了した後は・・・

ワークショップが終了したら、その内容を大きく印刷し、掲示する等して、現場で実行していきます。人事総務等の主管部門が3ヵ月後などの決められた時期に評価を行い、再計画に結びつけることを続けます。

『職場環境改善のためのヒント集』に挙げられているのは、メンタルヘルスに特化した内容ではなく、30項目に限定された、作業や作業環境、コミュニケーションの改善ですから、どんな人でも把握するのは難しくありません。一度でもワークショップを経験すればむしろ容易いと感じると思います。

最後に・・・

ストレスチェック2年目の新年度にあたるこの時期に、必要であれば外部専門家に相談しながら、今年度中の職場環境改善活動への取り組みを検討されては如何でしょうか。

 (参考資料)
厚労省ウェブページ『こころの耳』~職場改善マニュアル 
https://kokoro.mhlw.go.jp/manual/ 

メンタルヘルス対策の第一人者
医師 亀田高志氏とは?

旧労働省により創設された産業医科大学を1991年に卒業後、大手鉄鋼会社や外資系企業の専属産業医、産業医科大学講師等を11年間務める。
その後、2006年10月に産業医科大学と共に「職場の健康管理を起点とするサービスを企業と働く人の両方に届けていくこと」を目的とした株式会社産業医大ソリューションズを創設し、同社代表取締役を2006年10月から2016年5月まで務める。

また、日本産業衛生学会指導医、日本内科学会認定内科医、労働衛生コンサルタント等の資格を持ち、EAPコンサルティング普及協会理事でもある亀田氏は、職場の健康確保対策を専門とし、この10年間で、メンタルヘルス等に関する講演、研修の実績は計1,000回以上、参加者は延べ3万人を超える。

その他、主な著書に「管理職のためのメンタルヘルス・マネジメント」、「ゼロから始めるストレスチェック制度導入マニュアル」、「人事担当者のためのメンタルヘルス復職支援~リスクを最小化するためのルールとステップ~」(以上、労務行政研究所)等があり、その他、連載寄稿も多数行っている。

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